今井ダイアリー

今井らしさの原点 雲井窯の土鍋を訪ねて

2021.02.26
今井らしさの原点 雲井窯の土鍋を訪ねて

滋賀県甲賀市信楽町。大自然が広がる景色の中に、今井らしさの原点がありました。
今回は、今井の鍋焼を支える「土鍋」について、取材してまいりました。

今井らしい鍋焼を作り出す上で欠かせないのが「土鍋」。
火からおろしてもぐつぐつ熱々で丈夫な土鍋は、今井の鍋焼の原点とも言える一品です。

今井へ土鍋を何十年も提供頂いている「雲井窯」の九代目:中川一辺陶さんを取材させて頂きました。
土鍋へのこだわりや、今井との関わりについて、お話くださいました。

  • Q.土鍋を作るきっかけは?
  • 雲井窯の長男として、跡取りとして生まれ、
    高校生くらいの時から、父に言われ作り始めたのがきっかけです。

    大学を卒業した頃、あるお料理屋さんから、
    ”店で使っている土鍋が割れるから、絶対割れない土鍋を作ってほしい。”
    というご要望を頂き、丈夫な土鍋づくりへの挑戦が始まりました。
  • Q.今井の器へのこだわりを教えて下さい。
  • 鍋焼うどんは奥が深い料理です。
    かれこれ40年くらい遡るんですけれど、
    鍋焼うどんが一番おいしくできる土鍋を作ってほしいうというお話をいただきました。
    これをきっかけに今井の旦那さんとのやりとりが始まりました。

    ・蓋を開けても熱々の鍋焼を提供できる鍋
    ・何度でも使える頑丈さ

    鍋の厚みであったり、火の通りに重要な鍋の底のカーブであったり、
    お出しの中にうどんを一玉、具材を入れて沸騰させるのに最適な深さであったりと、何度もやりとりし研究を重ねました。
    その結果、今の土鍋が誕生しました。

    通常だと2 回の焼きで済むところを、3 回窯で焼き締めることで丈夫さを実現。
    現在でも往生するくらい難しい工程です。
    ※焼成回数によって、器の音色が変わるので、実際の音を動画でお楽しみください。

二代目:今井清三と、中川一辺陶さんで作り上げた器。
この元見本は当時の状態のまま保存されており、
留め型(※)として道頓堀 今井のためだけに焼き続けられています。

※留め型…留め型とは一軒のお店のためだけに創り他には販売致しませんと言う製作者と発注者間の申合せの事です。

  • Q.器を作る上で欠かせないものとは?
  • やはり土が一番重要です。
    厳選した土を、何十年も寝かせて保存しているものを使用しています。
    私は今井さんを支える道具の立場です。土を安定させることが、一番重要だと考えています。



器を焼き上げた後、最後の塗りの工程までこだわり抜いています。
実は、鍋の外側と内側とで、釉薬の種類を変えているのです。


外側は、取っ手を含め均一に釉薬を塗り重ね、
鍋の底は、直接火にあててもいいようにあえて何も塗っていません。

内側には、料理の味が変わらないように釉薬の種類を変えるという工夫をしています。

頑丈さを追求しながら、お料理の味を損なわないような工夫を、
土・成形・焼き・塗りの工程まで全てにおいてこだわり抜いた一品が完成しました。

今井らしく、鍋焼を提供し続けられるのは、
中川一辺陶さんが全てにおいてこだわり抜いた土鍋を提供し続けてくださっているからです。
その土鍋のお陰で、今井らしい、熱々の鍋焼を提供し続けることができます。


この度の取材にご協力頂きました雲井窯の皆様本当にありがとうございました。